『10年後の仕事図鑑』堀江貴文 x 落合陽一
AIに置き換えられる仕事として2つの代表的な特徴は、
1.不当に給与とインセンティブによる資産が高い仕事。組織を管理するだけの経営者など。
2.定型的な仕事のため低コストで、かつ携わっている人が多い仕事。一般事務全般。
これに当てはまる職業をいくつか並べて紹介している。
この中に弁護士というものがあった。
弁護士は法律はもちろんのこと、過去の膨大な判例を記憶し、それを適切なタイミングで検索し、弁護する。
膨大な法律と判例を記憶することは、もう人間がAIに勝てるはずはない。
だから、現時点ではAIをアシスタントとして、膨大な凡例の検索をさせればよい。
適切なタイミングで検索し、弁論を組み立てるのは従来の弁護士の仕事である。
ただ、法律や判例の適用も学習することができ、人間を凌ぐようになれば、もう弁護士は不要になるだろう。
弁護士がいらないのなら、検事もいらなくなる。
そして、AI弁護士とAI検事の主張を聞いて判決を下す裁判官もAIになる。
3者がそれぞれ過去の全ての裁判をシミュレーションし、議論を戦わせ、判決を下す。
最近のは、囲碁の差し手をAIが分かれて演じ、ルールも知らない素人から、1時間程度で世界トップ騎士レベルの実力を身に着けたという。
これを弁護士、検事、裁判官の3つのAIが演じ、全ての判例を教師として学習すれば、造作もないことである。
彼らは全く同じ法律、判例を共有し、それぞれの立場という違いだけで勝負を競うのである。
現実世界のように国選弁護士と年に数十億稼ぐ弁護士で能力に差が付くことはない。
彼らを雇うコストはほぼタダなのである。
だから金持ちと貧乏人で公平な裁判が受けられる。ヒトの顔色を見たり偏見から判決を下す陪審員とも違う。
法律という絶対的なコードに従って、全く同じ判決を下すのである。完全な法治国家の姿だ。
もっとも、彼らAIは過去の事例から学ぶのだから、女性差別を正しいものと答えを出したり、戦争を肯定するような判決を下すかもしれない。過去の判例は必ずしも現代人の常識に照らし合わせて正しいというわけではないから、必ずしも「正しい」答えを導くとは限らない。それを指導する人間というのは必ず必要なのである。