2021年12月04日

リスクの正体

『リスクの正体』神里達博

朝日新聞のコラムを集めた新書。
様々なリスクに関する事柄を集めており、学術的ではないので読みやすい。
2015年の事件で、杭工事のデータ偽装事件を取り上げていた。
データ偽装はモノづくり企業で多く発生した。
三菱電機、スズキ、タカタエアバッグなど多くの企業、
その度に「技術王国日本の信頼が揺らぐ」という副題が付いている。

社会に対して仕事を請け負って来た専門家が、経済的利益を増やすために信頼に背く行為を行う、
このようなプロの裏切りに対して、どう対処すべきか?著者は問いかける。

「プロフェッショナル」という言葉は、神からの召喚に対し、「その仕事を引き受けます」と
公言(profession)することに由来するという。
キリスト教世界では、職業を神との契約によるものだから、職業倫理に違反することは、神を裏切る行為である。
そこが一定の安全弁になっているはずだ。

ところが日本人の職業観には、神との契約という概念はない。
では日本人は何に対してプロの意識を持っているのだろうか?

それは「職人」の持つプライドや矜持ではないか。
それが今の世界では失われつつある。

では、それを取り戻すには?

著者の考えは、「利害関係を超えた「他者」に関心を持つこと、そして、その他社の良き仕事ぶりを見つけたら素直に敬意を表明することだ。人は理解され、尊敬されて初めて誇りを持てる。できれば、罰則や監視ではなく、知性と尊厳によって世界を変えて行きたい」

罰則や監視では解決できない。いくらでも抜け道はあるし、まして相手はプロ集団である。
プロと素人との良い関係は敬意から生まれるということを信じたい。





posted by しもす at 17:56| Comment(0) | 読書
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