2021年05月29日

イシューからはじめよ

『イシューからはじめよ』安宅和人

少し話題になった本なので読んでみた。
問題解決の基本を説いた本で、「解決すべき問題を正しく定義する」ということ。
正しく定義できれば、課題の半分は解決できたも同様。

これをテーマにした本は多いので、例え、事例が面白ければ楽しく読めるのだが、
例えがいまいち興味惹かれない。

一応実践していることではあるが、問題解決として必須の1点を取り上げる。

情報は詰め込まない、知り過ぎない

データは増えれば増えるほど価値がでるわけではない。データにはノイズもあるから、いかにノイズを取り除いた良質の情報を精製するかが大事である。この点をオフィスワーカーは理解していない。狭いEXCELやパワポに文字や絵を詰め込もうとする。
図と文字のバランスを欠く資料を作成しがちである。

15年以上にもなるが、とんでもないトラブルプロジェクトに新しく就任したプロジェクトマネージャが、今から何をすべきかということを、チームメンバーにパワポ5枚くらいで説明したことがあった。文字のフォントは24ポイントくらいだっただろうか?すっと彼の考えが頭に入って来た。

トラブルプロジェクトに新規着任した凡人であれば、まずプロジェクトの分析に1か月かけ、50枚くらいの資料を作る。(ほとんどがパワポ切り貼り)
その1か月の間にも状況が変わっているが、その間の変化には追い付けないので、何かちぐはぐな分析とアクションプランになっている。メンバーは心の中で思う。「それはもういい、わかっている。何をしたいかを言ってくれ!」

データは詰め込んではいけない。資料を作る方も読む方も大いなる時間の無駄である。

データを詰め込まないと類似のアプローチとして「変数を絞る」というテクニックがある。
人間の頭は多くのパラメータが変化する世界を理解することはできない。
パラメータが2になるともう真実が見えなくなることもある。
パラメータ3つになればもうお手上げである。それは3次元空間に事象を投影するということだから。
3次元空間を正確に理解できる人間などいない。

だから、パラメータは多くて2つで説明しないといけない。
もしも3つ以上の主要なパラメータが存在するのであれば、2つに絞って順々に説明するしかない。
時間がかかるが、正しいアプローチである。

問題解決には不要なデータ(ノイズ)を取り除き、パラメータを絞る。
このようなアプローチも学校教育では教えてもらっていない気がする。
学校とは知識を学ぶところだから?
posted by しもす at 10:28| Comment(0) | 日常

2021年05月23日

最適値を求めるトレーニング

記憶違いかもしれないが、数学で最適値を求める問題というのをやったことがあるだろうか?
高校3年になれば微積をやるので、最小、最大値を求めるような問題はやっているんだけど、それまではどうだったか?
私は文系でだったので、高3になったら数Vは微積と確率をちょっとやって、あとは試験勉強だった。
勿体ないことをした。お陰で人生の何分の一は損しているだろうか。

最近読む本で微積のことが出て来るが、数Vの入門、概念しかわかっていないので、やや理解が劣る。
マクロ経済学の動的均衡理論やディープラーニングの最適化関数等々。
高校の時にもっと勉強していれば理解も深くなるのに、残念なことである。

私のように文科系の人間は進学校であっても、微積をやっていない、やっても覚えていない人というのが多いと思う。
そうすると、最適解を求めるという数学的センスは身に付いていないのではないか?
まさか!?
勘違いかもしれないが、どうも思い出せない。
ネットで最小値を求める数学を検索してみると、確かに2次関数の最小値を求めるということを数Tでやっている。
2次関数なので、下向きの曲線の頂点を求めているのだが、Youtubeで予備校教師のレクチャーを見ていると、図を見ながら「頂点が最小です」「頂点が最小になるには2乗している数を0にすればいい。」というレベル。幾何と代数をごっちゃにしているな。もちろん微分して0になる(傾きが0)時の座標を求めるというのがすっきりした解答である

最適解のことを考えたのは、最近、

私と妻の役員賞与をいくらにすると手元に残るお金が最大になるか?

というシミュレーションをした時に思いついたものだ。
数学的な問題よりも、税金計算の知識の方が必要だし、そっちをちゃんと理解する方が難しい。
難しいとは言え、一旦モデル化すれば、「手元に残るお金」の計算は簡単にできる。
ただ、それを最大にする方法は?

たったこれだけのことを求めるのも難しいというのに、税金や社会資本を国民に公平に配布する解はどうやったら求められるのだろうか?様々な問題は、

相互に依存するパラメータが多すぎる
公平感を最大に高めるとは?
いつの時点をもって最大化するか?政権が続く4−6年以内?次の世代の20ー30年後?

失業保険の使い方は貧しい人に食料を与えることか、職業復帰を支援することか。
それが消費につながり、税収入を押し上げることができるか?
モラルハザードを起こさないか?
教育にお金をかけることで将来の雇用を維持し、企業の競争力を高め、安定した税収を望むことができるか?

経済学者、社会学者、政治家の言うことは、どれも真実に見えるし、どれも考慮不足に見える。
ポジションを持たずに、税収を最大化する政策などなく、誰もがポジションからモノを言う。

結局論理的な議論ではなく、ポジションを言い合っているだけでは?
 ー 福祉が大事。
 ー 経済発展と税収。
お互い証拠となる事実を見せ合うが、結局議論がかみ合わない。
数理モデルもなく、結局ポジションを主張しているだけである。

流石に税収の最大化は解けないにしても、最適化問題を中学、高校の数学にもっと取り込めないものだろうか?
世の中が複雑だということをもっと理解できるし、解けない問題もあるということに気づけるはずだから。


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posted by しもす at 23:28| Comment(0) | 日常

Learn or Die

『Learn or Die』西川徹 岡野原大輔

プリファードネットワークス創業者たちの記録である。
素直に書かれていて、彼らの考え、やりたかったことがすっと入ってくる。

企業家にありがちな「こんなに大変でした」みたいのな苦労話はもさらっと書かれているだけ。
彼らには苦労話しよりも、何をやりたかったか、どういうところで意思決定したのかを伝えたいのだ。

私がIT業界に入った時、オープンソースという言葉は生まれていない。
ハードウエアの利益が未だ高かったころであるが、ソフトウエアもすでに有償化されていた時代である。
その頃は未だSEのワークロードが無料にできるくらいハードウエアの利益率が高かったので、我々ばそのおまけであった。
1990年頃から大型ホストがコントロールする時代からクライアントサーバーの波が進み。
さらに水平化させるとサーバーやデバイス単位に単価競争が起きて、ハードウエアの単価が下がっていった。
そこ頃はソフトウエアでも稼ぐ時代であり、我々エンジニアも有償化される。

この後に、Linuxなどの無償化ソフトが公開され、ソフトウエアの開発スタイルも企業が独占的に行うのではなく、コンソーシアムや個人の開発者が協調して作る時代となる。

ソフトウエアは多くの人に使われてなんぼだから、数十倍の有益なソフトでもない限り、差別化できないし、成長するためには改良が大前提である。そのためビジネスの観点でもソフトウエアを独占して有償で提供することは不利な戦略とされる。
IBMはソフトウエアで莫大な利益を上げて来た会社であるから、こういうゲームチェンジを主導するではなく、転換には苦しんできただろう。

ソフトウエアの開発だけではなく、様々な研究分野に関してオープンな環境で研究し、爆発的に高速化を図る必要があり。全く関係のない分野の研究が融合して、想像もつかない分野が開けたりする。そのうち研究者だけではなくAIが研究をより高速に進めるべく人のコミュニケーションに参加してくる時代になるだろう。

このような時代の教育では何を学ぶかということよりも、どう学ぶかということが重要になってくる。
しかも一人の人が学ぶことよりも、チームや集団がどのように全体の能力を高めるかということが重要になってくる。
今学校で学ぶ子供たちが大人になるころには、ネットの世界がリアルを超えて、知能はもはや個人のものではなくなるだろう。個人の能力が評価される時代ではなくなる。今の教育は個人が何を学ぶかを追求しており、エドテックも詰め込み教育の延長線上でしかない。

プリファードネットワークスの創業者たちは単に学校の勉強がよくできたというだけではなく、オープンな環境で研究を進めるか、何万という仲間であり競合者たちとどのように差別化するかということに対する感覚が尋常ではないはずである。もちろん誰でもこんな人間になれるとは思わないが、個人が学業成績を上げるだけで満足している子供がいれば、集合知を最大化する、その中でいかの個性を発揮するかという教育を受けさせるべきだろうな。



posted by しもす at 13:22| Comment(0) | 日常