2021年05月21日

ベーシックインカム

いつかベーシックインカムのことを取り上げてみたいと思ったが、なかなか考えがまとまらない。
実は考えがまとまらないのではなく、ベーシックインカム導入後の予想が正しいか間違っているかの証拠を集めようとしているだけ。

財源的なことは一旦忘れて、ベーシックインカムの利点と問題点の代表は以下であろう。

利点
生活費に心配があると、リスクを取って新しいことにチャレンジできない。ベーシックインカムで最低限生活できることが保証されれば、新しい仕事や事業にチャレンジできるという人が出て来る。現在は開花すべき才能を殺していることになる。

問題点
生活が保障されると働かなくなる人が出て来る。また現在止む無く行っている最低限の仕事(汚い、危険)を担う人がいなくなる。

最初自分としては、問題点の方が気になっていた。お気楽なヒロユキは「日本人は言われなくても働く国民なのだから、そんな心配はしなくてもいい」と言っているが本当だろうか?

賛成派、反対派はそれぞれの主張の正当性をそうなっていない現在の社会から証拠集めしようとしている。証拠も、ベーシックインカムが導入された後に来る社会も脳内妄想だから、議論にならない。
スペインやフィンランドの社会実験も小規模だから国家レベルの適応はできないとか、フィンランドのケースは社会福利費とチャラにしたのだから結局保証レベルでは同じことだとか。
だから実験からも反対派を寝返らせるほとどのインパクトが見いだせない。

結論を急ぐつもりはないが、反対派を喜ばせる事実を一つ。

実は日本の一部ではベーシックインカムは行われている。
会社がそうである。日本の会社は終身雇用制であり、定年までの収入が保証される。
もちろん大卒で入社した会社が定年まで存続するかと言われれば、この先わからない。
ただ、私が入社して退職する年齢になった時の会社も、吸収や合併はあるものの、なんらかの形で残っている。
働き盛りを過ぎた中年ビジネスパーソンは、あまり役に立たないか、老害となるケースもしばしば。
ところが収入は若い人よりも多い。
この保証された環境はベーシックよりもはるか恵まれているが、彼らの生活や老後にはリスクはほとんどないと言える。
このような環境にあると、人はリスクを恐れずに新しい仕事や事業にチャレンジするのではなかったか?

事実は逆だろう。高収入の老人は新規事業にチャレンジせず、ひたすら旧態依然のビジネスモデルに固執する。
若い人のアイデアと意気込みをゴミ扱いにする。
それでも収入を保証されている。

これはフィンランド全国でベーシックインカムを導入するよりも大規模で行っている社会実験である。
その結果は「リスクを避ける」行動を取っているのである。もちろん会社に所属しながら新規事業をすることと、フリーランスがすることの違いはあるにしても、生活が保障された人間がリスクにチャレンジするというのはほとんどないのである。

そもそもリスクを取るような起業家精神のある人間は生活の安定など求めていないのであって、ベーシックインカムがあろうがなかろうがチャレンジする。もしも最低限の生活が保障されるなら新規事業にチャレンジするという人がいても、そのレベルの人間は成功しない。

せいぜいYouTuberくらいをやろうという程度の発想しかもたない。

もちろん例外もゼロとは言わないが、ベーシックインカムのお陰で企業した会社が、成功して数千人の雇用を生んだとしても、ほんの少数である。大量の財政を投資する価値はない。

では私はベーシックインカムに反対かというとそうでもない。できれば導入した方がいいと思っているが、能天気のヒロユキが言うように、ベーシックインカムでリスクにチャレンジする起業家が生まれるという楽観論にはあり得ないということである。

posted by しもす at 21:50| Comment(0) | 日常

2021年05月09日

税負担率

今朝の日経朝刊トップは「GAFA課税15%どまり」だった。

以前読んだ『GAFA』ではAMAZONの課税は2%とあったから、幾分「改善」したのだろうか?
日本の企業の平均は28.3%、トヨタは24.8%だそうである。
自社は24.4%なので日本の平均よりやや少ない程度。累進率はそれほど差がなく、利益800万円以上は一律である。

法人税がどんどん下がっているのは資本のグローバルが進んで、企業が税率の低い国に本社や支社を置こうとするから。
露骨なタックスヘブンは最近減って来たようだが、それも各国の税率が下がったから、タックスヘブンのメリットが減っていたという理由もある。オランダも一時タックスヘブンと言われたが、この時の税率が20%程度。
今やアメリカがその水準である。

法人税は何かと叩かれることが多いが、グローバル企業の支社を日本から逃すよりも、税率を下げて日本に支社を作ってもらった方がトータル税収は増えるという話である。ところが国同士が競争するとますます税率が下がり、現在の姿になっている。アメリカ、EUなどはこれではまずいということで、最近国際協調を呼びかけている。

左派政党は、法人税率を下げ、消費税を上げるのは反対であると主張する。
政治家と大企業が癒着して庶民からお金を吸い上げているという絵を描いて、気を引こうとしている。
選挙対策としてそれもいいが、本気で言っているならもう少し考えて欲しい。

法人税を下げるのは国際的な流れであり、より多くの税収を得るための各国の戦略の結果である。
これを緩和、解決するための具体的な政策を述べて欲しい。

ところで「税負担率」という言い方をしているが、「負担」はネガティブなので、払いたくないという印象になる。
昨年度末の決算処理の参考資料では、実行税率を使っていた。その呼び名の方がいいんじゃないのかと思うのだけど、税負担率の方が一般的な用語なんだろうか?

posted by しもす at 17:55| Comment(0) | 日常

2021年05月08日

まぐれ

『まぐれ』 ナシーム・ニコラス・タレブ

現題は、Fooled by Randomness というもうちっと品のあるタイトルであるが。

生存バイアスという統計の誤り。
何年も高いパフォーマンスを上げている腕利きのファンドマネージャーがいると、ついつい信じたくなり、彼に全財産を掛けてみたくなる。こういうニュースがいつまで経っても後を絶たない。最近話題のニュースではアルケゴスキャピタルマネジメント。日本の一流たる野村證券も2200億円の損失が出たとか。こういうニュースを聞いた気は、今まで野村証券は、こういう自己勘定的な運用をどれくらいやっていて、そのうちずっと利益が出ていたのか、それとも今回は10年に1回くらいの割合で起こっていることなのか?
こういうニュースを聞くと野村証券が損ばっかりしているようにも聞こえるが、公平に言えば得もして損もしているうちの一つなのだろう。新聞ネタになる時は逆生存バイアスがかかっている。

生存バイアスはファンドの世界だけでなくあらゆる誤解の下になる。

今、アクティブ・ラーニング(AL)の本を読み始めてみた。もちろんALをポジティブに書いている本であるが、学校でALの真似事をして本当に社会の役に立つのだろうか?もちろん日本のクラスルームの授業には反対だけど、どうすればALが成功であるかを先生たちはわかっているのだろうか?

子供の目がイキイキしていました!
でも彼らはゲームをする時もイキイキします。逆は真ではない。

日本の教育の(悪玉とされているが)一定のいいところは、それなりの質のレベルが大量生産されるということ。
これはある意味大事なことで、一定のレベルの仕事ができないと、ミスは増える、計算は間違う、時間に遅れる・・・
こういう部下ばかりだとマネージャーはストレスが溜まって仕方がない。優秀だけど、ストレス耐性のない人はリーダーになれない。

欧州の教育はAL型という。うちの長男も小5から中1(2年3か月)イギリスのインターナショナルスクールに通っていたが、学力らしい学力を身に付けたとは思えない。創作やレポート、調査、発表という欧米人のスキルで高いことはやるのだが、答えが合っているか合っていないかというのは優先順位が低い。意見を持ち、主張し、発表することが最も大切なこととされる。テストを見ても、これはさすがにバツ1だろうと思うことでも。書けば半分は点数をくれる。

こういう教育だから大人になっても似たようなもので、自己主張はするけど、ミスが多いし、ミスを認めず、自分は正しいことをしたと主張する。マネージャは凄いなと思うが、彼らは仕事のマネジメントよりもヒューマンマネジメントに長けた人が多く、ストレス耐性もあるように見える。

だから日本式教育がいいというわけではない。欧米では優秀は人は飛び級するし、そもそもパブリックスクールには通わない。だから詰め込みではなく、自己学習型の人は居心地がよく、大人になってもイノベイティブだし、起業家を目指したりする。
日本教育は批判されているが、会社に適応するための労働者を生産するために、中級以下の子供を教育するためには最も正しい方法であり、それが日本の戦後の発展につながったことは、秘密でもなんでもない。

だからまた最近元気のいい欧米を真似てALをと言っているわけだが、そもそも詰め込みクラスルーム教育を受けた教師で、それも最近は成績としてはやや下の人たちがALの真似をしても成功するとは限らないだろう。

教える側だけの問題ではなく、本当に全ての人のALを適用するのが方法論として正しい教育なのか?
抜群にALが成功したら30年後、日本の社会人が質は低いけど、自己主張は強い欧米風の人間が大量生産される。
これも困ったものだ。問題は質をどう上げるか?

或いは、方法論として生徒「全員に」ALを適用するべきなのか?

生存バイアスから話がそれてしまったが、書こうと思っていたことは、将棋の羽生名人は公文をやっていた。だから公文は素晴らしい。グーグルの創始者はモンテッソーリ教育を受けていた。だからモンテッソーリは素晴らしい。
これも生存バイアス。やくざや犯罪者も公文を受けているし(きっと)、モンテッソーリ教育を受けたいかがわしい新興宗教教祖もいるだろう(きっと)

そっちは絶対宣伝されない。(絶対)

どうしたら客観的な情報が届くのだろうか?専門家でも間違うのに、私のような教育素人が本当に正しく何かを判断することができるのか?情報があふれる時代には、こういう判断がますます難しくなる。知識は増えるし、知識へのアクセスは容易になるのに、判断が停止してしまうとうジレンマ。






posted by しもす at 00:00| Comment(0) | 日常