私が社会人になった34年前にもポストイットは存在していた。
ポストイットはスリーエム社が最初に商品化した。
すぐに剥がれてしまう接着剤で、当初は研究中の「失敗作」だといのは有名な話だ。
そのポストイットは付箋紙やメモ帳など、パソコンにも使われていたが、それはやはりただの付箋紙。
この付箋紙が30年以上の時を経て、魔法のようなツールに生まれ変わった。
私がTrelloを使いだしたのは今年、2020年の2月から。
まだ3か月しか経っていないが、Trelloなしでは思考できないくらい、脳内パーツになったような感覚である。
Trelloはカンバンボードと呼ばれる手法をオンラインで共用できるようにしたもの。
「かんばん」は英語にもなっており、海外でもカンバンボードと呼ばれている。
簡単な利用イメージは以下の通り。
まず1つの大きなボードを用意。
このボードは左から右に「起票」「着手」「レビュー中」「完了」などという「リスト」という場所で仕切られている。
あとはTodo項目などを書いた付箋紙、「カード」をリストの中に貼っていくだけ。
カードは進捗に応じて、リスト内を移動させる。
ただこれだけ。
ただこれだけのことだが一度使ってみるとそのすごさがわかる。
これを使ってみようと思ったきっかけは、昨年メルボルンにで働いていた時のプロジェクトで、
JIRAというツールが使われていたことだ。
JIRAはアジャイルプロジェクトで有名なツールで、Atlassianというオーストラリアの会社の製品だ。
JIRAは本当に優れたツールで、久しぶりに惚れこんでしまった。
日本に帰ったらAtlassianの日本法人に転職して、日本の会社にこのツールを広めるのが自分の使命だと勘違いしたくらいだ。
JIRAにもカンバンボードがあった。
毎朝15-30分くらいのスタンドアップミーティングをやっており、ここでJIRAのカンバンボードが使われていた。
私は新しいプロジェクトをする度に、新しいスタイルを取り入れることにしている。
スタンドアップミーティングに出ながら、次はこのカンバンボードを使おうと思っていた。
ただJIRAは企業向けで有料のツールだ。
JIRAのカンバンボード機能を切り出したのが、Trelloというツールだ。
TrelloはAtlassianが買収したツールでカンバンボードに関してはほぼ同じ機能を提供している。
IBMはTrelloのエンタープライズ版を契約しており、すぐに利用できると分かった。
帰国後、2月に新しく入ったプロジェクトのチームリーダーとして参画した時に、早々Trelloを使い始める。
最初に作ったボードは、チームのタスク管理、お客さんからのQAチケット管理である。
オンラインで共有したボードにカードを作って貼る。
カードの中に担当者、期限、タグ、Todoリスト、備忘録、コメント欄を作ることができ、誰でも書き込みができる。
朝の仕事のスタイルはこんな感じ。
・9時45分から朝会
・ボードをプロジェクターに映し出す
・期限が近いカードを確認して担当者に状況をヒアリング
・終わっていれば、カードをドラッグドロップで「レビュー中」から「クローズ」リストに移動。
こんな単純なことだけど、この単純さゆえに長続きする。
魔法である所以だ。
付箋紙をボード上に張り付け、終わった付箋紙は貼りなおすというアナログ感をオンラインで視覚化されている。
このアナログ感がなんとも素敵だ。
他にも、
・担当者やフォロワーへのカード変更のメール通知
・期限切れのお知らせ
・カードのカレンダー表示
・タグや担当者期限での検索機能
・簡単なワークフローオートメーション
・カード全操作履歴のロギング
など、あったらいいなという機能はほぼ備えている。
しかも、どの機能も最小限のマウス操作とショートカットで実現できる。
キー操作は世の中の様々なツールの中でもぶっちぎりの洗練度だ。
だから、使っていて思考が停止しない。
Trelloには本当に感謝したい。
そしてこのツールを日本中に広める使命がある、という勘違いをずっと持ち続けるつもりだ。
コロナのせいで、4月からほぼテレワークになったが、私のチームはオフィスで実践していた朝会をそのまま続けている。
会議室に集まってプロジェクターに投影する代わりに、オンラインミーティングの共有画面にTrelloを映し出す。
図ったわけではないが、全くスムーズにテレワークに移行できた。
ちょっと前ならEXCELにタスク管理表を作って、それを毎日更新するというスタイルだったんだろうな。
お陰で1日のリーダーワーク1時間くらい節約できて、情報が集まらないというストレスも減ったと思う。
ちなみにTrelloは個人でも無償版を利用できる。
個人では会社設立ボードを作り、タスク管理を行った。
今は120くらいのカードがあって、100終了している。
個人利用についても別のブログで書いてみたい。
このツールは会社だけでなく、様々なシーンで使える。
個人的なイベント、冠婚葬祭、学生・生徒の学習進捗、旅行の計画、読みたい本のリスト、等々。
これからも長く付き合っていくツールである。